TOHOKU UNIVERSITY LIBRARY 東北大学附属図書館

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附属図書館長 年頭挨拶(2024年)

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 このたびの能登半島地震により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、余震が続く中で復旧作業にあたっておられる皆様に深い敬意を表すとともに作業の安全を祈念しております。
 当館も2011年の東日本大震災で大きな被害を受け、最近では2021年、2022年と続いて起きた二度の福島県沖地震でも被災いたしました。2022年の地震では、特に農学分館の被害が大きく、サービスの全面的再開までには長い期間を要しました。幸いにもいずれの地震被害においても学内外の皆様の温かいご支援と協力を得、その困難を克服することができました。これらの出来事は附属図書館として大学の教育研究、そして地域社会を支えていく決意を新たにするきっかけとなりました。職員一同、より強固な「知の拠点」を築き、貢献していく所存です。
 2024年は当館にとって新たな挑戦の年となります。まず、1月1日からElsevier社との転換契約がスタートします。本学は国内大学に先駆けて海外大手出版社との間の転換契約を締結してまいりました(Wiley社2022年、Springer Nature社2023年)。出版社へ支払うジャーナル購読料をオープンアクセス出版料に転換することにより、研究成果のより効果的でオープンな発信と共有が可能となりつつあり、この取組みを学術情報流通の推進と研究発信力強化に繋げていきたいと考えております。これは本学だけでできるものではなく、国内大学間の連携協力が重要なものとなってきます。その実現に向けて尽力いたします。
 また、本学独自のオープンアクセス推進のためのAPC支援事業を展開し、多くの研究者、学生の皆様にご利用いただいております。研究者の皆様が自身の研究成果をオープンに発信できる環境を整備することは、学術の進歩において極めて重要です。我々は引き続き、オープンアクセスの推進を通じて知の基盤整備と学術の発展に寄与していきたいと考えております。
 現代社会において、これからの時代における知のあり方が、世界的な課題となっております。昨年度のG7仙台科学技術大臣会合、さらにG7広島サミットにて、オープンサイエンス推進に向けた学術論文・研究データ等研究成果の共有についての、大きく進んだ方針が示されました。情報技術の急速な進化や知識の蓄積の拡大に伴い、図書館は単なる図書の保管庫ではなく、知の共有と創造のプラットフォームとして更なる発展を遂げる必要があります。我々は柔軟で先進的なサービス提供を心がけ、未来の学問・研究の礎となるよう努めてまいります。

新年が皆様にとって実りある一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。

2024年1月
東北大学附属図書館長
大隅 典子
大隅 典子


繪本庭訓往來
繪本庭訓往來 / 葛飾北齋畫(狩野文庫) より
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