ジャーナル問題を考えよう
このページは、主として電子ジャーナルを巡る諸課題に関し、国内及び世界の状況を把握し、本学がどのように取り組んでいるかについて情報発信を行う目的で設置しました。
近年は電子ジャーナルのみに留まることなく、研究成果へのアクセス、発信及び評価に係るトピックスも含まれるようになりました。「学術情報流通」という表現で論じられることも多いこれらの課題について一緒に考え行動していきましょう。
近年は電子ジャーナルのみに留まることなく、研究成果へのアクセス、発信及び評価に係るトピックスも含まれるようになりました。「学術情報流通」という表現で論じられることも多いこれらの課題について一緒に考え行動していきましょう。
各項目は随意更新します 【更新日:2023.9.21】
オープンサイエンスとオープンアクセス
オープンサイエンス
オープンサイエンスは包括的な概念で、定義も様々です。2021年に公表されたユネスコのオープンサイエンスに関する勧告では、「オープンサイエンスとは多様な運動及び実践を組み合わせた包摂的な構成物であって、多言語の科学の知識を全ての人が自由に利用し、アクセスし、及び再利用することができるようにし、科学及び社会の利益のための科学の協力及び情報の共有を拡大し、並びに伝統的な科学コミュニティを越えた社会的関係者に対して科学的知識の創出、評価及びコミュニケーションに関する過程を開放することを目的とするものをいう。」とされています。
オープンアクセス
オープンアクセス(open access、OA)について、日本学術振興会では、「論文のオープンアクセス化とは、簡潔に言うと、誰でもWebを通じて無料で自由に論文へアクセスできるようにすることです。」としています。また、同会は論文をオープンアクセス化することによる効果として下記2点を挙げています。
- ① 学術研究の発展
- 論文のオープンアクセス化が拡大すれば、学術情報が様々な制約なく流通・入手することが可能となり、学術研究の発展に寄与します。また、異なる分野の研究成果に触れることも容易になるため、研究の幅が広がり、さらには、世界の国々の情報格差の解消にも役立ちます。
- ② 研究者自身にとって
- 論文を発表した研究者自身にとっても、自らの研究成果に関する情報発信力が高まり、様々な利点が期待されます。例えば、少し古いデータになりますが、物理学の分野で、同じ学術誌に掲載された論文の被引用数についてOA論文とそれ以外を比較すると、約2.5~5.8倍の差があったとする報告があります。
- 日本学術振興会『オープンアクセス』より
現在、学術論文へのオープンアクセスの普及や研究データのオープン化が世界的な潮流として、学術情報流通環境が加速度的に変化しています。
転換契約とは
転換契約とは、これまで出版社に支払ってきた雑誌・論文の購読料をオープンアクセス出版料に転換する契約です。東北大学は国内に先駆けて海外大手出版社と転換契約を締結してきました。
転換契約に関する文献
- 膨らむ学術誌コスト、大学と出版社の「転換契約」進むか.日本経済新聞.2023-09-20.
∗有料記事です。学内の方は本学契約の新聞データベースからご覧下さい。 - 小陳左和子. 転換契約はジャーナル問題の切り札となるか?~大学図書館での導入経験を通して~.ジャパン・オープンサイエンス・サミット2023. 2023-06-21.
- 小陳左和子. 電子ジャーナル問題の切り札の一つとしての「転換契約」. UniBio Pressセミナー. 2023-03-17.
- 大隅典子. #転換契約 は #電子ジャーナル問題 を解決できるか?. SPARC Japanセミナー2022. 2023-02-17. [映像] [資料]
- 小陳左和子. 東北大学と東京工業大学の担当者が語るWiley社との転換契約. Wiley転換契約アップデートウェビナー. 2023-02-16.
- 大隅典子. 「電子ジャーナル問題」対応のための「転換契約」と「若手APC支援」. 総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)有識者議員懇談会. 2022-11-24.
- 大隅典子. 電子ジャーナル問題の切り札の一つとしての「転換契約」. 第55回大学等におけるオンライン教育とデジタル変革に関するサイバーシンポジウム. 2022-09-09. [映像] [資料]
- 小陳左和子. 電子ジャーナル問題の切り札の一つとしての「転換契約」. 第24回大学図書館と国立情報学研究所との連携・協力推進会議. 2022-06-29.
- 小陳左和子. 国内4大学とWiley社との電子ジャーナル転換契約の締結. カレントアウェアネス-E. 2022-06-23, (437), E2505.
- 大隅典子. Wiley社との「転換契約」締結 : 学術情報のコストは誰が払うのか?. 科学. 2022-06-01, 92(6), p.507-510.
- 大隅典子. 4大学図書館による「#転換契約」:そのとき、歴史は動いた. 仙台通信 note (Sendaitribune). 2022-02-08.
海外の動き
- G7仙台科学技術大臣会合(2023.5.12-14, 仙台)
- G7科学技術大臣共同声明 [仮訳] [原文]
- 付属文書 Annex1 OS(G7 Open Science Working Group (OSWG)) [日本語訳](資料委員会オープンサイエンス小委員会)
- G7広島サミット(2023.5.19-21, 広島)
G7広島首脳コミュニケ p.29 40項目 [原文] [仮訳] - 米国OSTPの即座OA方針
2022年8月25日、米・科学技術政策局(OSTP)は、公的資金を得て生み出された研究成果について、論文出版と同時に、論文及び根拠データがオープンアクセスとなる、「即座OA」の方針を発表。 - OA2020
ドイツのマックスプランクデジタルライブラリ(Max Planck Digital Library)が主催。購読料を支払わないと読めない論文をオープンアクセスに変える国際的イニシアティブ。 - cOAlition S
2018年9月、欧州の11の国立研究助成機関が始めたイニシアティブ。 加盟する機関が公的資金で助成する論文を完全かつ即時にオープンアクセス化するための計画「Plan S」を発表。
国内の動き
- 2023.07.26 科学技術・学術審議会情報委員会(第33回)
- 2023.06.16 経済財政運営と改革の基本方針2023(骨太方針2023)(閣議決定)
- 2023.06.09 統合イノベーション戦略2023(閣議決定)
- 2023.05.25 科学技術政策担当大臣等政務三役と総合科学技術・イノベーション会議有識者議員との会合(令和5年度) 論文等のオープンアクセスについて(論点とりまとめ)
- 2022.11.10~2023.03.02 総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)有識者議員懇談会「論文のオープンアクセスについて」
- 2021.02.12 ジャーナル問題検討部会 我が国の学術情報流通における課題への対応について(審議まとめ)
- 2020.09.28 日本学術会議 提言「学術情報流通の大変革時代に向けた学術情報環境の再構築と国際競争力強化」
- 2019.04.19 日本学術会議 学術フォーラム「危機に瀕する学術情報の現状とその将来 Part2」
- 2019.03.05 大学図書館コンソーシアム連合 「購読モデルから OA 出版モデルへの転換をめざして ~JUSTICE の OA2020 ロードマップ~」
- 2017.05.18 日本学術会議 学術フォーラム「危機に瀕する学術情報の現状とその将来」
本学の動き
図書館の取り組み
- 2022.10.11 「世界大学ランキングの最新動向と研究力分析の在り方 - World University Rankings 2023」
主催:東北大学研究推進・支援機構URAセンター 共催:附属図書館
<第1部 講演>
小泉周(自然科学研究機構特任教授)
<第2部 対談>
小泉周・大隅典子(東北大学副学長・附属図書館長)
2022年10月11日(火) 13:00-15:00
オンライン開催
開催案内 / 動画(学内限定,リンク先からURLをクリックしてください。) / 講演資料(学内限定)
- 2022.6.9 第4回ジャーナル問題に関するセミナー (附属図書館主催)動画公開
Wiley 転換契約パイロットプロジェクト説明会
- 2021.12.9策定 東北大学研究データ管理・公開ポリシー
- 2021.10.18 第3回 ジャーナル問題に関するセミナー(附属図書館主催)
ジャーナル問題トークセッション in Tohoku University「東北大学のジャーナル問題を考える」
<パネリスト>
河村純一(東北大学リサーチ・アドミニストレーションセンター長)「URA センターから見たジャーナル問題」
米澤彰純(東北大学国際戦略室副室長)「日本の大学教育・研究と学術情報:教育学分野を事例として」
早川美徳(東北大学データ駆動科学・AI 教育研究センター長)「東北大学における研究活動と学術情報」
大谷栄治(東北大学大学院理学研究科名誉教授、Progress in Earth and Planetary Science 誌総編集長)「学術誌とオープンサイエンス」
<モデレーター>大隅典子(東北大学 副学長 / 附属図書館長 / 医学部・医学系研究科 教授)、<コメンテーター>船守美穂(国立情報学研究所 情報社会相関研究系准教授)
- 2021.05.27 第2回 ジャーナル問題に関するセミナー(附属図書館主催)
「「研究のマス化」とデジタル時代における研究評価 ― 研究評価は変わる必要があるか?」
船守 美穂(国立情報学研究所 情報社会相関研究系准教授)
開催案内(参考文献) / 動画 / 講演資料 / 質疑応答集(学内限定)
- 2021.03.04 ジャーナル問題に関するセミナ―(附属図書館主催)
「ジャーナル問題をどのように判断するか? ― 学術情報流通とアカデミアの多面的な関係性」
船守 美穂(国立情報学研究所 情報社会相関研究系准教授)
開催案内(参考文献) / 動画 / 講演資料
- 2019.10.02 学術雑誌の動向に関するセミナー2019(附属図書館・研究推進部研究推進課共催)
「学術雑誌は誰のもの?:研究力強化とオープンアクセスの リテラシー」
大隅 典子(東北大学 副学長 / 附属図書館長 / 医学部・医学系研究科 教授)
- 2018.3.13策定 東北大学オープンアクセス方針
APC支援
ジャーナル問題に係る参考情報
- 2023.9.18 新たな研究・論文出版体系の確立を(対談・座談会 大隅典子,林和弘). 週刊医学界新聞. 2023-09-18, No. 3533.
- 2023.8.24 「転換契約」進む…論文オープンアクセス、日本の課題は理解不足?. ニュースイッチ,2023-08-24.
- 2023.8.6 大隅典子. 主催したオープンアクセス関連シンポジウム@第46回日本神経科学大会で言いたかったこと. 仙台通信 note (Sendaitribune). 2023-08-06.
- 2023.8.3 若手研究者の論文発信を後押し 東北大、論文誌の購読料→論文掲載料に転換. ニュースイッチ, 2023-08-03.
- 2023.5- 大隅典子. オープンサイエンス時代の論文出版 週刊医学界新聞
- 大隅典子. 研究評価とオープンアクセス(オープンサイエンス時代の論文出版 第5回). 週刊医学界新聞. 2023-09-04, No. 3531.
- 大隅典子. OAと海賊とハゲタカと(オープンサイエンス時代の論文出版 第4回). 週刊医学界新聞. 2023-08-07, No. 3528.
- 大隅典子. 「転換契約」始まる(オープンサイエンス時代の論文出版 第3回). 週刊医学界新聞. 2023-07-03, No. 3524.
- 大隅典子. 進む学術情報の“商業化”(オープンサイエンス時代の論文出版 第2回). 週刊医学界新聞. 2023-06-05, No. 3520.
- 大隅典子. “知のインフラ”の歴史(オープンサイエンス時代の論文出版 第1回). 週刊医学界新聞. 2023-05-08, No. 3516.
- 2023.1.20 小泉周. 「転換契約」による研究成果のオープンアクセスの促進. 実験医学, 2023-1-20, Vol. 41 No. 3.
- 2023.1.9 Wileyが日本でのオープンアクセス契約を拡大(プレスリリース)
- 2022.11.24 科学技術政策担当大臣等政務三役と総合科学技術・イノベーション会議有識者議員との会合(令和4年度)
大隅典子. 「電子ジャーナル問題」対応のための「転換契約」と「若手APC支援」
講演資料 - 2022.11.21 研究大学コンソーシアム(RUC)のメンバーを中心とする国内10大学がシュプリンガーネイチャーとオープンアクセス論文出版の促進に関する合意書に署名 〜世界に向けた日本発研究成果のオープン化促進を図る〜
◆プレスリリース本文
- 2022.10.31 酒見佳世. 電子ジャーナルのオープンアクセスをめぐる動き : 転換契約とKOARA. Medianet, 2022-10, No.29 p. 9-12.
- 2022.02.08 東北大学・東京工業大学・総合研究大学院大学・東京理科大学とWiley、日本発の研究成果のオープンアクセス化の促進に関する覚書に署名
◆プレスリリース本文
<参考>
- 大隅典子. 電子ジャーナル問題の切り札の一つとしての「転換契約」. 第55回大学等におけるオンライン教育とデジタル変革に関するサイバーシンポジウム. 2022-09-09. [映像] [資料]
- 小陳左和子. 国内4大学とWiley社との電子ジャーナル転換契約の締結. カレントアウェアネス-E. 2022-06-23, (437), E2505.
- 大隅典子. Wiley社との「転換契約」締結 : 学術情報のコストは誰が払うのか?. 科学. 2022-06-01, 92(6), p.507-510.
- 大隅典子. 4大学図書館による「#転換契約」:そのとき、歴史は動いた. 仙台通信 note (Sendaitribune). 2022-02-08.
- 2021.11.14 「今、日本の学術情報インフラが危ない」 仙台通信note (Sendaitribune)
大隅 典子(東北大学 副学長 / 附属図書館長 / 医学部・医学系研究科 教授)
- 2020.12.04 国立情報学研究所 設立20周年記念フォーラム(国立情報学研究所主催)
セッション4「パンデミック後の大学図書館がNIIに期待するもの」
大学図書館とDX~学術情報は誰のもの?
大隅 典子(東北大学 副学長 / 附属図書館長 / 医学部・医学系研究科 教授)
動画 / 講演資料 - 2020.11.17 サイエンスアゴラ2020 (国立研究開発法人 科学技術振興機構主催)
「ポストコロナ時代の研究活動における情報共有 ~成果発表・学会~」
大隅 典子(東北大学 副学長 / 附属図書館長 / 医学部・医学系研究科 教授)、能勢 正仁(名古屋大学宇宙地球環境研究所 准教授)、生長 幸之助(東京大学大学院薬学系研究科 講師)、<司会(ファシリテータ)>中島 律子(科学技術振興機構 情報基盤事業部長)
動画
- 2020.11.04 図書館総合展2020 エルゼビアフォーラム
これからの日本の科学研究を発展させるために ~若手研究者をどう支援するか~
「ニューノーマルを見据えた図書館を求めて:東北大学附属図書館の取り組み」
大隅 典子(東北大学 副学長 / 附属図書館長 / 医学部・医学系研究科 教授)
動画 / 講演資料
- 2019.12.03 特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第21期第2回理事会
研究倫理委員会企画・研究倫理フォーラム「研究成果発表のあるべき姿:オープンサイエンス推進の潮流」
講演1.「オープンサイエンスのススメ」
大隅 典子(東北大学 副学長 / 附属図書館長 / 医学部・医学系研究科 教授)
講演資料
- 2019.08 大隅典子,佐藤初美. "東北大学附属図書館のオープンアクセスを巡る状況".
大学マネジメント. 2019, Vol. 15, No. 8, p. 31-37.
- 2018.11.09 2018年度SPARC Japanセミナー (国立情報学研究所主催)
「日本におけるOAの推進を阻むもの:一(いち)生命科学者より」
大隅 典子(東北大学 副学長 / 附属図書館長 / 医学部・医学系研究科 教授)
動画 / 講演資料
お問合せ先
このページの内容に関する問合せ
附属図書館 雑誌情報係
E-Mail:serialsあっとgrp.tohoku.ac.jp(あっとは@に置き換えてください)
ジャーナル問題に関する問合せ
附属図書館 情報管理課
E-Mail:lib-infomaneあっとgrp.tohoku.ac.jp(あっとは@に置き換えてください)