大野総長の入学祝辞において附属図書館のコレクションに言及

大野総長からの2020年入学祝辞の中で、附属図書館所蔵のコレクション「狩野文庫(かのうぶんこ)」「坤輿万国全図(こんよばんこくぜんず)」について触れられました。
(以下、抜粋です)


【学術資源の集積】
 本学のような総合大学にとって、基礎資料や文献をはじめとする学術資源の集積は極めて重要です。 初代総長の澤柳政太郎(さわやなぎ まさたろう、1865~1927)先生が、本学の文系学問の礎とするために整備した著名な文献コレクションとして、 「狩野文庫」が附属図書館にあります。これは、澤柳総長と親交が深い教育者であり、またわが国きってのエンサイクロペディストでもあった狩野亨吉(かのう こうきち、1865~1942)による10万8千冊に及ぶ蔵書コレクションです。 国宝二点を含む卓越した和漢古典の研究資料として知られ、「古典の百科全書」あるいは「江戸学の宝庫」とも称されています。

本学第三代附属図書館長であった村岡典嗣(むらおか つねつぐ、1884~1946)先生は、この「狩野文庫」の特色の一つとして、地図をとりあげており、 その中に、太平洋を中央にすえた世界地図として、17世紀以降日本人の世界観に大きな影響を与えた「坤輿万国全図(こんよばんこくぜんず)」の写本があります。

【地図に見る世界】
 私も附属図書館で「坤輿万国全図」を眺める機会を得ました。17世紀初頭に作成されたとは言え、精緻に仕上げられていることに驚かされました。 しかし、オーストラリアはまだ掲載されていません。地図を作成した人たちの「世界」が、私たちが知っている世界と異なり、地理的に限られたものであったことがわかります。 この地図が世に出てからおよそ四世紀が経ち、今日私たちの見る地形を示す普通の地図は、世界のどこでも同じとなりました。 もちろんいまも四世紀前もほぼ同じ地形ですが、1万年も前になると様相が違ってきます。地球の長い歴史の中では、地図も大きく変わるのです。

祝辞全文はこちらよりご覧いただけます。

また、附属図書館長 年度初頭挨拶もあわせてぜひご覧ください。

東北大学附属図書館ではこの他にもたくさんの著名な文庫を所蔵しています。主だったものは主要特殊文庫一覧の通りです。
所蔵する貴重な資料の一部は電子公開しています。東北大学デジタルコレクションをご覧ください。
また、狩野文庫をモチーフにしたオリジナルグッズを発売しています。
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