東北大学附属図書館 夏目漱石ライブラリ

(初 出)朝日新聞 明治43年3月1日~6月12日
(単行本)明治44年1月 春陽堂

(内 容)
 横町の奥の崖下の暗い家で世間に背をむけてひっそりとして生きる宗助と御米。「彼らは自業自得で、彼らの未来を塗抹した」が、一度犯した罪はどこまでも追って来る。彼らを襲う「運命の力」が全篇を通じて徹底した<映像=言語>で描かれる。「三四郎」「それから」に続く三部作の終篇。(岩波文庫解説より)

(自作への言及)
 拝復。葉書をありがとう。『門』が出たときから今日まで誰も何もいってくれるものは一人もありませんでした。私は近頃孤独という事に慣れて芸術上の同情を受けないでもどうかこうか暮らして行けるようになりました。従って自分の作物に対して賞賛の声などは全く予期していません。しかし『門』の一部分が貴方に読まれて、そうして貴方を動かしたという事を貴方の口から聞くと嬉しい満足が湧いて出ます。(大正元年10月12日阿部次郎あて書簡)

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