東北大学附属図書館 夏目漱石ライブラリ
坊っちゃん
(初 出)『ホトトギス』 明治39年4月
(単行本)『鶉籠』所収 明治40年1月 春陽堂
(内 容)
「坊っちゃん」は数ある漱石の作品中もっとも広く親しまれている。直情径行、無鉄砲でやたら喧嘩早い坊っちゃんが赤シャツ・狸たちの一党をむこうにまわしてくり展げる痛快な物語は何度読んでも胸がすく。が、痛快だ、面白いとばかりも言っていられない。坊っちゃんは、要するに敗退するのである。(岩波文庫 解説より)
(自作への言及)
(中略)『坊っちゃん』の中の坊っちゃんという人物は或点までは愛すべく、同情を表すべき価値のある人物であるが、単純過ぎて経験が乏し過ぎて現今のように複雑な社会には円満に生存しにくい人だなと読者が感じて合点しさえすれば、それで作者の人生観が読者に徹したというてよいのです。(「文学談」)