新カント派哲学者ヴィンデルバントの直筆ノート発見

新カント派哲学者ヴィンデルバントの直筆ノート発見
 -没後100周年に独ハイデルベルク大学と共同で確認-

東北大学附属図書館本館の地下書庫から、ドイツの哲学者、哲学史家として世界的に有名なヴィルヘルム・ヴィンデルバントの直筆ノート20冊がまとまって発見されました。ヴィンデルバントは新カント派の西南ドイツ学派の中心人物として知られており、本邦でもすでに1902年に『哲學史要』が翻訳出版されています。その後も多数の著作が紹介され、わが国における西洋哲学の受容と発展に大きな役割を果たしました。
本年は没後100周年にあたり、ヴィンデルバントの手稿はほとんど残されていなかったことから、本国ドイツのハイデルベルク大学でも日本での直筆発見に沸き立っています。

 
                    今回発見された直筆ノート

ヴィルヘルム・ヴィンデルバント(Wilhelm Windelband, 1848-1915)はチューリヒ、フライブルク、ハイデルベルク大学等の教授をつとめ、価値批判の学問としての哲学の定立や問題史的な哲学史記述等によって知られています。多数の著述があり、それにより哲学の発展に大きな影響を与えた一方で、思想の上で体系的にまとまった著作がなく、本年の没後100周年のドイツでの記念行事の際には、「忘れられた新カント派」としてのタイトルさえ与えられていました。
東北大学附属図書館では蔵書目録のデータベース化事業を進めており、その過程で、2015年5月に地下書庫から20冊の手書きノートが発見されました。ヴィンデルバント直筆であることを検証するために、ヴィンデルバントが教授を務め、また東北大学とも学術交流のあるハイデルベルク大学の協力を得て、ヴィンデルバント本人のものに違いないとの検証をすることができました。
ノートの内容は、哲学、哲学史、また心理学に関する講義ノートやそのメモ、あるいは著作のドラフト(草稿)とみられます。ホルスト・グンドラハ(Horst Gundlach、ハイデルベルク大学名誉教授・ヴュルツブルク大学心理学史研究センター元教授)氏によれば、ヴィンデルバントの遺品は第二次世界大戦の際の空襲で焼失したため、学問的な手稿などで残されているものがほとんどなく、東北大学で発見されたこれらのノートは、哲学史の研究者にとってきわめて重要な資料になるだろうということです。
また、本年3月にハイデルベルク大学で開催された没後100年記念シンポジウムに携わったペーター・ケーニヒ(Peter Konig、ハイデルベルク大学教授)氏は、「遺稿について何もわからなかったことはシンポジウムでも残念でしたが、それだけに日本で直筆ノートが発見されたという知らせに、とても喜んでいます」とコメントしています。
なお、これらのノートが東北大学に受け入れられた経緯については、第一次世界大戦後の1926年に、ドイツのフォック書店を通じて135円50銭で購入されたということが判明しています。


問い合わせ先
担当: 関戸、奥村
電話: 022-795-5923, 5918
E-mail: catalog☆grp.tohoku.ac.jp    ※「☆」はアットマークです。

プレスリリース (PDF 250KB)

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