八木・宇田アンテナ発明100周年記念展示
「八木秀次の横顔-著作に感じる人物像-」
はじめに
今年(2024年)4月,工学部電気情報物理工学科が主催する「八木・宇田アンテナ発明100周年記念フォーラム」が開催された。これは,本学工学部電気工学科に在籍していた八木秀次博士(1886-1976)と宇田新太郎博士(1896-1976)が,八木・宇田アンテナを発明してからちょうど100年を迎えたことを記念したものである。工学分館でもこの記念行事の年に合わせ,館内と他館から借用した蔵書による展示「八木秀次の横顔-著作に感じる人物像-」を開催した。
本サイトは,実施した展示をもとにオンライン版として再構成したものである。
八木・宇田アンテナ発明100周年
八木・宇田アンテナは,現代のテレビ放送に欠かせない技術として広く普及しており,東北大学においても2024年の大きなトピックの一つであった。
八木・宇田アンテナについて,本学電気通信研究所のウェブサイトでは,以下のように説明している。 「現在,世界中の家々でテレビ放送の受信用アンテナとして最も広く用いられているアンテナは,八木・宇田アンテナと呼ばれています。何本かの直線状の金属導体を平行に配列したこのアンテナは,大正末期(1925年)に東北大学においてアンテナの研究に従事した八木秀次博士と宇田新太郎博士によって発明されました。」八木秀次 略歴
1886(明治19)年 大阪に生まれる 1909(明治42)年 東京帝国大学工科大学電気工学科卒業 1910(明治43)年 仙台高等工業学校電気科教授 1912(明治45)年 東北帝国大学工学専門部教授 1913(大正2)年 ドイツ・イギリスなどに留学 1919(大正8)年 東北帝国大学工学部電気工学科開設,東北帝国大学教授兼東北帝国大学附属工学専門部教授
1942(昭和17)年 東京工業大学学長 1944(昭和19)年 内閣技術院総裁 1946(昭和21)年 大阪帝国大学総長 1951(昭和26)年 学士院会員 1952(昭和27)年 八木アンテナ株式会社取締役社長 1953(昭和28)年 参議院議員当選 1956(昭和31)年 文化勲章受章 1976(昭和51)年 逝去 89歳 1995(平成7)年 IEEE(米国電気電子学会)が八木・宇田アンテナ発明を顕彰するマイルストーンを東北大学に設置資料解説
八木の言葉を収めた資料や、八木の著作物を紹介する。
八木は創刊号の頃から何度か寄稿しており、独自の言説や時事的な記録など貴重な記事を残している。
特集企画
八木秀次の言葉
『工明会誌』に寄稿された記事や、八木自身の著作に残る文章や言葉を抜粋で紹介する。
- 大學に特有なるべき一要素は所謂アカデミッシエ・フライハイトである。私は今之を學府の自由と譯した。(「學府の自由に就て」『工明會誌』創刊号, p.5)
- 少しも學問に對する熱心がなくては學徒としての資格は全く零である。(同前,p.8)
- 発明と云つても日本人は世界で一番オリジナリテーの不足した國民だからね。(「秋宵漫話」『工明會誌』第13号)
- お金はなぜ尊いのでしょう。お金は人間のはたらきや物の代りだから尊いのです。もともと尊いものが人の勞働なんです。(『蟻の咳払ひ』p.248)
- 技術は実践を生命とする。たとえば新規のものでなくとも,既知のものでも組織を立てて多量生産するとか巨大なものを造り上げるとかのはたらきは技術のたっとぶところである。(『技術人夜話』p.55)
年表と人物相関図
八木のおかれた時代背景や環境をより理解するため、「年表」と「人物相関図」により整理した。
年表は,1919(大正8)年の東北帝国大学工学部電気工学科設置を始点とする東北大学の電気・情報系の歴史に,1914(大正3)年からの世の中の動きを組み合わせている。
学生参加企画
企画① 工学分館学生スタッフに聞きました!「八木・宇田アンテナについて語れる?」
工学分館で働く学生スタッフ10名に,八木・宇田アンテナや八木について知っていることを質問し,その後,『工明会誌』に八木が寄稿した記事を読んでもらい,イメージがどのように変わったかを聞いた。
企画② 工学分館学生スタッフ×職員座談会「八木先生の人物像をみんなで語ろう」
今回の展示に合わせ,学部生時代に電気工学を学んだ大学院生2名と,工学分館職員による座談会を行った。八木の言葉や文章から感じ取ったこと,日々研究に励む一学生として,研究者・教育者としての八木先生はどのように映ったかなど,ざっくばらんに話をしていただいた。
本展示では,本学電気通信研究所,工学部・工学研究科電子情報システム・応物系,工明会,青葉工業会にご協力いただきました。
<展示実施報告>
八木・宇田アンテナ発明100周年記念展示
「八木秀次の横顔-著作に感じる人物像-」
開催期間: 2024年11月6日~11月21日
開催場所: 工学分館1階ホール
主 催 : 東北大学附属図書館工学分館
協 力 : 東北大学電気通信研究所,東北大学工学部・工学研究科電子情報システム・応物系,東北大学工明会,青葉工業会
詳細報告
「東北大学附属図書館工学分館「八木秀次の横顔」展示実施報告 ―同窓会誌『工明会誌』ほかに見える人物像に着目して―」(『東北大学附属図書館調査研究室年報』第12号, p. 69-75, 発行日 2025-03-31)
アンケート
企画展示のWebページをご覧いただき、ありがとうございました。
アンケートにご協力をお願いします。
アーカイブ
- 2026/03 | 宇田文庫設置記念展示「宇田新太郎-研究者として、一人の人間として-」
- 2020/10 | 貴重書展示「Il Tempio Vaticano e sua origine -ヴァチカンの大聖堂とその起源-」
- 2020/04 | 展示「工学分館の使い方(Q&A)」

![[写真] 『工明会誌』](20241106/20241106-2.jpg)
![[写真] 『蟻の咳払ひ : 科学者の随筆』](20241106/20241106-3.jpg)
![[写真]八木秀次の言葉](20241106/20241106-4.jpg)




