創立111周年記念/令和4年度企画展 本をめくる、印をめぐる ―東北大学の蔵書印から―
沿革からみる蔵書印
数ある蔵書印の中から、図書館スタッフイチ押しのいくつかをご紹介します。
蔵書印をたどることで、現在の東北大学に至るまでの長い長い歴史の断片が、様々な角度から見えてきます。
年表には、本学の大きな節目とともに、今回紹介する蔵書印に関わる出来事を掲載しました。
この時代の蔵書印
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- 印文(印が表している文字)
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[印影の大きさ(縦×横cm)]
説明文(印を使用していた組織や、来歴、デザインについて紹介しています。)
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- 第二高等中学校図書
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[7.5×7.5cm]
第二高等中学校の蔵書印。東北大学の包摂校のひとつである旧制第二高等学校は、明治27年(1894)の「高等学校令」の発令前までは第二高等中学校と称されていた。
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- 宮城病院図書
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[3.6×3.6cm]
東北大学病院の前身である宮城病院の蔵書印。数種類が見つかっているが、今回紹介する1点は1900年代初めに使用されていたものと推測される。
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- 宮城病院附属医学校
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[2.7×2.7cm]
宮城病院附属医学校の蔵書印。字体に篆書体ではなく隷書体が使われている点が特徴的である。
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- 宮城医学校図書之印
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[4.3×4.0cm]
宮城医学校(1883-1887年)の蔵書印。中央に重ねて押されている縦長の印は「第二高等学校消印」である。
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- 仙台医学専門学校図書之印
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[6.0×6.2cm]
旧制第二高等学校医学部を引き継ぐかたちで設置された仙台医学専門学校の蔵書印。
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- SKK
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[2.2×2.2cm]
仙台高等工業学校の蔵書印。仙台高等工業学校は、明治39年に日本で4番目の官立高等工業学校として設立された。ローマ字表記の頭文字をとり「SKK」と称した。
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- 第二高等学校図書 (明治)
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[7.5×6.2cm]
旧制第二高等学校の受入票。下角には同校のシンボルとなっている蜂のデザインがみえる。
この時代の蔵書印
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- Institute of GEOLOGY & PALEONTOLOGY Tohoku Imp. Univ., Sendai, Japan.
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[2.7×6.2cm]
地質学古生物学教室の蔵書印。Sendaiと所在地が記されているのが珍しい。東北帝国大学から東北大学となり、蔵書印も変更されたが、印文や横長の形状は引き継がれている。
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- 荒井泰治氏ノ寄附金ヲ以テ購入セル文学博士狩野亨吉氏旧蔵書
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[6.0×2.5cm]
狩野文庫にみえる蔵書印。狩野文庫は文学博士狩野亨吉(1865~1942)の旧蔵書。計4回にわたり受け入れられ、その第1回分には、購入にあたり寄附を行った仙台出身貴族院議員・荒井泰治の名が印に刻まれている。
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- 仙台陸軍幼年学校図書之印
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[2.0×2.0cm]
仙台の陸軍幼年学校の蔵書印。戦後の組織廃止にともない蔵書は旧制第二高等学校へ移管された。
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- 東北帝国大学医科大学薬物学教室
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[3.4×3.4cm]
薬物学教室(現在の薬理学講座)で押されていた蔵書印。各教室の印のデザインは様々だが、医学分館では正方形や長方形が多く見つかっており、丸型の蔵書印は少ない。
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- 伊澤平左衛門氏寄贈あ・ふるうゐっつ文庫
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[7.4×3.6cm]※「ゐ」は小文字
フルヴィッツ文庫の寄贈印。フルヴィッツ文庫は、ドイツ出身の数学者Adolf Hurwitz(1859-1919)の旧蔵書。地元仙台の実業家・伊澤平左衛門氏からの寄付により購入した。
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- 東北帝国大学工学部化学工学科
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[3.0×3.0cm]
「理科大学応用化学科」にルーツをもつ「工学部化学工学科」で使用されていた蔵書印。1919年(大正8年)「大学令」の施行により理科大学が「理学部」となり、応用化学科は「理学部応用化学科」となった。
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- Osc.Munsterberg.
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[7.5×6.5cm]
ミュンスターベルク文庫に残る蔵書票。ミュンスターベルク文庫は、ドイツの東洋美術史家Oskar Munsterberg(1865-1920)の旧蔵書。この蔵書票はミュンスターベルク自身の作製とされる。
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- SCHMARSOW BIBLIOTHEK
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[4.7×6.1cm]
シュマルゾー文庫にみえる蔵書票。シュマルゾー文庫は、ドイツの美術史家でライプチッヒ大学教授であったAugussst Schmarsow(1853-1936)の旧蔵書。
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- 東北帝国大学図書印
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[7.4×7.4cm]
東北帝国大学図書館の一般的な蔵書印。蔵書印に多い篆書体が用いられている。
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- 財団法人齋藤報恩会寄贈ヴント文庫
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[5.0×5.0cm]
ヴント文庫の受入票。ヴント文庫はドイツの心理学者Wilhelm Wundt(1832-1920)の旧蔵書。財団法人・齋藤報恩会が購入し、大学はその寄贈を受けるという形式がとられた。
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- ZITELMANN・BIBLIOTHEK
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[8.2×7.3cm]
チーテルマン文庫にみえる蔵書票。チーテルマン文庫は、ドイツ民法の起草者であったErnst Zitelmann(1852-1923)の旧蔵書。財団法人齋藤報恩会の寄付により受入られた。
この時代の蔵書印
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- SECKEL BIBLIOTHEK
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[7.5×5.7cm]
ゼッケル文庫の蔵書票。文庫は、ドイツの法学者Emil Seckel(1864-1924)の旧蔵書。この蔵書票は、受け入れにあたり本学の法文学部初代教授の勝本正晃がデザインしたとされる。
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- 宮城県女子専門学校校友会図書部
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[2.5×2.5cm]
宮城県女子専門学校の受入印。円形の中央が空白のデザインとなっている。
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- 仙台高等工業学校図書
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[5.0×5.0cm]
仙台高等工業学校は、一時期、東北帝国大学の「工学専門部」となり、再び独立して仙台高等工業学校に戻るなど、複雑な変遷を経た。
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- 東北帝国大学
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[1.5×1.5cm]
インクを使わず紙面にエンボスで刻した蔵書印。
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- 農学研究所図書之印
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[4.3×4.3cm]
農学部創設を目標に、昭和14年(1939年)に設置された研究所。農学部は昭和22年(1947年)に設置され、研究所は昭和63年(1988年)に廃止された。
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- 東北帝国大学天文学教室教室
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[4.0×4.0cm]
理学部天文学教室で使われていた蔵書印。星、月、ほうき星(彗星)をあしらった愛らしいデザインとなっている。
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- 宮城師範学校図書印
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[3.0×3.0cm]
東北大学の包摂校の宮城師範学校の蔵書印。この印が押された資料類は、1965年(昭和40年)に創立された宮城教育大学にすべて移管されたため本学に残っていない。
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- 東北帝国大学医学部附属医院鳴子分院
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[3.0×3.0cm]
温泉の医学的研究を目的として設置された鳴子分院で押されていた蔵書印。
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- 東北帝国大学農学研究所
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[3.2×1.9cm]
東北帝国大学農学研究所(1939年(昭和14年)設置)で受入された本に貼られていた請求記号ラベル。現在のように背に貼るのではなく、背を左側にして表紙の左上部分に貼ってある。
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- 鉱山図書
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[4.6×7.1cm]
菱形に工具(ハンマー?)を配した、「鉱山学科」らしい特徴的なデザインの蔵書印。
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- 高速力学研究所図書之章
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[3.5×5.3cm]
高速力学研究所は1943年(昭和18年)10月に設置された研究所。1989年(平成元年)に流体科学研究所へと改組し今に至る。
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- 東北大学農学部図書印
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[3.0×3.0cm]
農学部の蔵書印で「書」の文字の横棒がくるりと巻かれていて、デザインとして面白い。
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- 選鉱製錬研究所図書
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[4.1×4.1cm]
1941年(昭和16年)3月に設置された研究所。1992年(平成4年)素材工学研究所へと改組、さらに2001年(平成13年)、多元物質科学研究所へと統合された。この丸印は反時計回りに「選鉱製錬研究所」と書かれている。
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- 非水溶液化学研究所
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[4.0×4.0cm]
非水溶液化学研究所は、1944年1月(昭和19年)に設置され,反応化学研究所へと改組し(1991年)、さらに多元物質科学研究所(2001年)へと統合された。
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- 東北大学工学部鉱山学科図書室
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[8.0×2.3cm]
資源工学・地球工学の学科の前身である「鉱山学科」の蔵書印。鉱山学科は数回の改称と改組を経て現在の「機械知能・航空工学科」へ継承されている。
この時代の蔵書印
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- 東北大学医学図書館印
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[3.1×3.1cm]
医学分館で雑誌を受入する際に押されていた受付印。現行のものよりも文字が若干縦長で、「館」の字がひょろりと伸びており趣がある。
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- 東北大学医療技術短期大学部図書室
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[3.0×3.0cm]
医学部保健学科の前身である、東北大学医療技術短期大学部の図書室で雑誌に押されていた受付印。
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- 岩石鉱物鉱床学教室
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[3.0×3.4cm]
岩石鑛物鑛床学科の蔵書印。鉱物の形をイメージさせる六角形の印で、製本雑誌の背表紙にも同様の六角形の金箔押が施されていた。
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- 建築工学科図書
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[3.0×3.0cm]
1949年(昭和24年)に設立された建築工学科の蔵書印。
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- 東北大学図書館富沢分館
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[4.0×4.0cm]
包摂校を母体とした3教養部分校を1957年(昭和32年)に統合し設置された「富沢分校」の受入印。1958年(昭和33年)に川内に移転したため存在した期間は僅か1年半程である。
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- 東北大学図書館川内分校分館
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[4.2×4.2cm]
1958年(昭和33年)に富沢分校が移転して誕生した川内分校の受入印。川内分校分館は教養部分館となるが、1972年(昭47年)4月に川内に移転する本館に統合され教養部分館は廃止された。
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- 原子核工学科蔵書之印
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[3.6×3.6cm]
機械知能・航空工学科量子サイエンスコースの前身である「原子核工学科」図書室で用いられていた蔵書印。1958年(昭和33年)に大学院に「原子核工学専攻」が設置され,3年後に学部に「原子核工学科」が設置された。
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- 東北大学附属図書館農学部分館
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[3.0×3.0cm]
大学の組織変遷にともない農学部の図書館も名称を変えてきた。1974年(昭和49年)に農学部図書掛から農学部分館になったが、改組により1978年(昭和53年)に農学分館になったため「農学部分館」が使用されたのは4年間だけであった。
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- 東北大学図書之印
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[3.0×3.0cm]
「東北帝国大学」から「東北大学」へ移行してからの蔵書印。現在、受け入れている図書には押印されていない。
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- EX-LIBRIS 1988 KOTAKA TAMIO
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[5.0×5.0cm]
理学部地質学古生物学教室の教授であった小高民夫の旧蔵書にみえる蔵書印。デザインは教授の専門であるキリガイダマシ(Turritella)という巻貝をモチーフとしたもの。