■会場:東北大学附属図書本館1階 常設展会場
■期間:平成23年 3月7日(月)〜3月27日(日)
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宮城県桃生郡河南町前谷地(現在の石巻市)の齋藤家は、酒田の本間家に次ぐ国内第二位の大地主でした。
本間家が江戸時代から続く大地主であったのに対し、齋藤家は明治になってから、9代目当主の善右衛門が様々な産業や金融に投資し、財産を急速に拡大しています。
信仰に厚い善右衛門は、これらの財産を公益のために使うことが神仏の恩に報いる道であると考え、斎藤報恩会を設立しました。斎藤報恩会は東北帝国大学にも多額の研究補助金を交付しており、当館所蔵のヴント文庫も寄付金により購入したものです。(下図参照)
文書管理に几帳面でもあった善右衛門は、家業の帳簿・書付・書簡などを大量に整理・保管しています。この方針は後の世代にも受け継がれたため、近代の大地主に至る過程が詳細な史料として齋藤家に残りました。
多くの産業分野への投資に関する書類も大量に含まれることから、日本資本主義展開過程の研究資料として全国的にも注目されています。齋藤家の史料が現在「齋藤養之助家史料」と呼ばれるのは、善右衛門の孫にあたる養之助氏にちなんでのことです。
河南町齋藤家の家屋や蔵に収蔵されていた史料は、2003年7月の宮城県北部連続地震で被災しました。東北アジア研究センターの平川新教授を代表とする宮城歴史資料保全ネットワークが、史料の救出・保全にあたり、これをきっかけに、史料は同年12月附属図書館に寄贈されました。その後、文学研究科の大藤修教授の研究チームによる整理を経て、2010年に目録が完成しています。
今回の常設展では主に、齋藤家の隆盛に始まり戦後の農地改革にいたるまでの史料を、目録から厳選して展示しています。展示史料の選出や解説文の作成には、大藤研究室所属の大学院生の方々に全面的にご協力頂きました。
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ヴント文庫(東北大学附属図書館所蔵)購入の資金援助に関する書類(大正15年)
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農学研究所創設への寄与に対する本多幸太郎総長の礼状(昭和13年)

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上記礼状翻刻

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