工学分館の歩み

2018年11月の記念展示における、パネル展示「工学分館の歴史と科学の40年」の内容紹介と、工学分館に関する年表の抜粋です。


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パネル展示「工学分館の歴史と科学の40年」

パネル1

工学分館の歴史

工学部/大正8年(1919)頃

1.工学部の設置と学科図書室

大正8年(1919)5月に東北帝国大学工学部が設置された。

創設時(片平キャンパスに所在)は各学科ごとに資料を配置する分散型図書室制をとっていた。当初は機械工学科、電気工学科、化学工学科の3学科のみだったが、その後学科の増設/改変が行われ、学科図書室も漸次増加していった。

写真提供:東北大学史料館
工学部図書室 昭和37年頃か (昭和38年工学部精密工学科卒業記念アルバム より)

各学科図書室では閲覧・貸出などのサービス業務を実施し、資料の受入や目録業務は附属図書館(本館:1911年設置)が行っていた。

昭和42年(1967)の工学部学科等図書室
電気・通信工学科図書室 建築学科図書室
応用化学・化学工学科図書室 土木工学科図書室
機械工学科図書室 応用理学教室図書室
金属系図書室 機械工学第二学科図書室
精密工学科図書室 原子核工学科図書室
資源工学科図書室
写真提供:東北大学史料館
管理棟フロア図 昭和50年(1975)頃

2.中央図書室の誕生

工学部が昭和39年(1964)から44年(1969)にかけて青葉山キャンパスに移転したことに伴い、学科図書室をできるだけ集中化し、充実させるため、それらの連絡調整や図書資料の受入整理を行うことを主な目的とした工学部中央図書室が工学部管理棟の2階に昭和42年(1967)に開設され、数年かけて体制が整えられていった。

青葉山地区空撮 昭和40年(1965)頃
電気系学科付近 1970-1980年頃 資源工学科付近 昭和40年(1965)頃か 化学系学科付近か 昭和41年(1966)7月 写真提供:東北大学史料館
工学分館 昭和55年(1980)

3.工学分館の設置

外国雑誌・索引誌の増加や価格高騰などを背景に、資料を集中管理し、各種サービスの強化を目的とする分館構想が進められ、昭和53(1978)年4月1日に工学分館が設置された。

当初、書庫や閲覧室は依然として工学部管理棟内にあり、狭隘・不便だったが、昭和55(1980)年11月に現在の旧館が建てられた。

これを機に、電気系図書室、資源工学科図書室が分館に統合された。

新館建設中の様子(旧館2階より撮影)

4.新館の増築

年とともに指数関数的に増大する書籍の数量に対して、各学科および各系の図書室ではスペース不足が深刻化していた。工学分館で集中管理するには収容能力が足りなかったため、増築が強く望まれ、平成7年(1995)2月に新館が完成した。

学科旧蔵図書フロア

5.学科図書室の統合

新館が完成したことにより、同年4月には機械系、原子核工学科、金属・材料系、化学系、土木工学科、建築学科、応用物理学科、基礎教室の資料および職員を工学分館へ統合し、組織の強化を図った。

各図書室は異なる分類体系を使用していたため、資料は学科別に新館1階に並べられた。

6.資料の電子化

図書館が扱う索引誌やデータ集などのツールは、1990年代から急速に電子化が進み、CD-ROM化やリモートオンライン型を経て、インターネットの普及と共にネットワーク型へと発展していった。

2000年代には多くの学術雑誌が電子ジャーナルへと切り替わり、また近年は電子ブックの導入にも力を入れている。

これにより、現在はさまざまな情報が研究室や自宅に居ながらにして利用可能になっている。

なお、従来の冊子体の図書についても、平成16年(2006)から「キャンパス間資料搬送サービス」を開始し、他館の資料が容易に利用できる仕組みを整え、平成21年度(2009)には「附属図書館学生用図書整備事業」を策定し、予算要求を行うなどして蔵書の充実に努めてきていることから、貸出冊数は伸びている。

7.学習スペースの多様化

資料の電子化が進み、新着雑誌コーナーなどのスペースに余裕が生じたことから、近年はさまざまな学習シーンに応じた使い分けができるよう、場の再整備を行っている。

−2011年

 :自由学習室(=飲食可能な学習スペース

 :無線LAN

 :グループ学習室(会話しながら学習できる部屋)

−2015年

 :Abelujo(アクティブ・ラーニング・スペース+語学自習エリア)


年表

1907年6月 東北帝国大学設置
1919年5月 工学部設置(片平)
各学科図書室で閲覧・貸出等サービス実施
1953年4月 大学院工学研究科設置
1967年8月 工学部中央図書室開設(青葉山)
1969年7月 工学部青葉山キャンパス移転完了
1970年5月 工学部事務室内に図書掛設置
1978年4月 附属図書館 工学分館設置(所在は管理棟)
1980年11月 工学分館竣工(現・旧館)
1981年4月 工学分館開館(現・旧館)
8月 電気系図書室が分館に統合
1982年7月 資源工学科図書室が分館に統合
1983年4月 管理掛、整理運用掛の2掛体制となる
1986年12月 東北大学附属図書館情報処理ネットワークシステム(T-LINES1)導入
1987年蔵書検索システム稼働
1992年12月 入退館システム導入
1995年2月 新館竣工
4月 機械系等の学科図書室が分館に統合(=学科図書室統合完了)
1996年2次情報データベースサービス開始
1997年2月 電子ジャーナルサービス開始
1999年工学分館ホームページ公開
2003年3月 自動貸出装置導入
2004年4月 国立大学法人化
2007年3月 電子ブック導入,
キャンパス間資料搬送サービス開始
2009年学外者への貸出サービス開始
2011年無線LANサービス開始,
グループ学習室開設(旧館2階)
2015年9月 Abelujo設置(旧館1階)
2018年工学分館40周年