(展観目録第101号)
「とり」に関する図書展目録
 
 日 時  昭和44年1月13日(月)、14日(火) 各12時から16時まで
 場 所  東北大学附属図書館会議室
 
目  録
物思ふと寝ねずおきたる朝飼には、わびて泣くなり庭つ鳥さへ (萬葉集12)とこよの長鳴鳥は、神代の昔、天の岩戸にも登場しており、シナでも紀元前十世紀頃には家畜とされていたようであるから、鷄(ケイ)は、人間と共にあったようである。されば前掲のように歌によまれ、或は諺(鷄口牛後等々)に入り、もしくは文壇にあらわれ(唐、王勃の闘鷄檄文等々)、絵画にゑがかれ、遊戯にさそわれ(鳥合せ等々)、遂には料理にされるにいたっている。
 今年はとりの年、それにちなんでの展観であるが、鷄だけの図書は少ないので、一般の鳥類関係書も陳列した。
 
◎ 一般
1. 鳥類 (世界大百科事典5) 1966(平凡社)
2. 林禽類 (寺島良安撰 和漢三才図会(正徳3成)43)
3. 鷄 (和漢三才図会 42 原禽類)
  鷄の別名 かけ(家鷄)(円珠庵雑記4) くだかけ(擁書漫筆3) はたた鳥(円  
 珠庵雑記4) ゆふつげ鳥(夏山雑録) 庭鳥 司晨 先暁 啓関(難字訓蒙図彙)
4. にわとり(鷄) (世界大百科事典 17) 1967(平凡社)
◎ 鷄鳴(鷄もぐうの音も出ぬ御神詠〜川柳(菅原道真のこと)
5. 牝鷄晨をつぐ (某撰梅翁随筆第1)
  鷄の夜鳴を不詳とすること(永田道慶撰膾餘雑録4 塚田虎撰随意録5) 夜鳴鷄は凶事に非ず(山口幸充撰嘉良喜随筆5) 方違に鷄鳴をとなふること(畑維龍撰四方の硯1)
6. 鷄の虚声 (笠亭仙果撰雅俗随筆上)
  鷄声にはかられつとて殺せし歌(小山田与清選松屋筆記五35)物真似で鷄いつち用に立ち(川柳〜函谷関の故事)
◎ 絵画
7. 鷄頭花図 宋 銭舜挙(元初 呉興八俊の1)筆 (国華163)
8. 鷄図 曾我直庵(慶長中)筆(国華179)
9. 軍鷄図 宗達(〜1641)筆(国華101)
10. 竹に鷄(菊鷄□人家の庭にすんでゑをひろふ) 西村重長(〜1756)筆
11. 鷄養雛 英一蜂(〜1788)筆か(英筆百画1)
12. 双鷄図 丸山応挙(〜1795)筆(京都市八坂神社蔵 応挙名画譜中 昭11)
13. 鷄図 伊藤若沖(〜1800)筆(宝暦2、37才筆)(国華129)
14. 鷄図 祖仙(〜1821)筆(国華110)
15. 軍鷄図 谷文晁(〜1841)筆(文晁遺芳)昭和13
16. 鷄図 松村景文(〜1844)筆(国華124)
17. 鷄ノ図 葛飾北斎(〜1849)筆(葛飾真草画譜上)
18. 逆毛のにハとりにへびいちご 崇岳堂(〜1899)筆(生うつし四十八鷹春の部)
19. 菊鷄図1枚 梅村景山筆画稿 彩色
20. 梅鷄図1枚   〃      〃
21. 鷄図1枚    〃      (白描)
22. 鷄図1枚    〃      墨画
23. 鷄図1枚    〃      〃
24. 鷄図1枚    〃      〃
25. 雌雄鷄図1枚  〃      〃
26. 鷄図1枚    〃      〃
27. 鷄図1枚    〃      〃
28. 鷄図1枚    〃      彩色
29. 鷄図1枚    〃      〃
30. 鷄図1枚    〃      〃
31. 鷄図1枚  広田百豊粉本  彩色
32. 鷄図1枚    〃      墨画
33. 鷄図1枚    〃      〃
34. 鷄図1枚    〃      〃
35. 鷄図1枚    〃     (色注あり)
36. 鷄図1枚    〃      〃
37. 群鷄図1枚 梅村景山筆画稿 墨画淡彩
38. 十二支図1枚(張込) 〃    〃
◎ 芸術(嘘に越す晦日の関に鷄の絵馬〜川柳)
39. トリの芸術 (河北新報 昭和32年1月3日号)
40. 越後三条の玩具 清水清風撰(うなゐの友5)(明治44)
  金銀にて鷄を作ること流行 松浦静山(〜1841)撰(甲子夜話続編13)
◎ 闘鷄(鷄合)
41. 闘鷄の流行 支那の闘鷄 岡西惟中(〜1692)撰(一時随筆)
42. 三月三日の鷄合 天野信景(〜1733)撰(塩尻38)
43. 闘鷄必勝の法 高田与清(〜1847)撰(松屋随筆第61)
44. 小鳥合 尾崎雅嘉(〜1827)撰(蘿月庵図書漫抄7)
45. 鷄合せ 関秘録4 (著者不明)
46. とりあはせ 小高吉三郎撰(日本の遊戯503頁)(昭和25)
47. とりあはせ 巖本正方撰(村岡良弼編如蘭社話17)(明治23)
  荊楚歳時記 梁 宗懍撰(正月条)鷄ト 鷄吃食(走馬灯) 鷄湯(永尾竜造 撰支那民俗誌2) 鷄を門戸に画く・・・(同上1)(昭和15) 東城老父伝1巻 唐、陳鴻撰(正続太平広記)(説郛) 闘鷄篇 服部元喬(〜1759)撰 (南郭先生文集二編巻2) 闘鷄神社。和歌山県田辺市旧郷社(神社名鑑 神道大辞典3) 五人女五(西鶴) 萬年草 本領曾我(近松 玉勝間(本居宣長)等々
◎ 酉の市(酉の市が三度ある年は吉原が焼ける 酉の市の売残り〜諺) (春
をまつ事の始や酉の市〜其角)
48. 酉の市のおこり 酉の市の売物五種の図 桃華園撰(萍花漫筆下)
49. 浅草田圃の酉の市 斎藤幸成(〜1878)撰(東都歳事記)
50. 酉の市 民俗学研究所編(年中行事図説)(1954)
◎ 料 理
51. 鳥料理 本山荻舟撰(飲食事典)(昭和33)
  唐土にてはとりわけ鷄を賞味す 林道春(〜1657)撰(包丁書録)置土産1(鷄飯)