東北大学附属図書館 夏目漱石ライブラリ


■9月22日


 近頃は文学書は嫌になり候科学上の書物を読み居候当地にて材料を集め帰朝後一巻の著書を致す積りなれどおれの事だからあてにはならない只今本を読んで居ると折角自分の考へた事がみんな書いてあつた忌々しい
(明治34年9月22日(日) 夏目鏡子宛書簡)
(『漱石全集』 第22巻)


※解説: 漱石は明治33年9月から明治35年12月まで、文部省第一回給費留学生としてイギリスに留学した。漱石は、明治40年に出版した『文学論』の序の中で「余が使用する一切の時を挙げて、あらゆる方面の材料を蒐集するに力め、余が消費し得る凡ての費用を割いて参考書を購へり。此一念を起してより六七ケ月の間は余が生涯のうちに於て尤も鋭意に尤も誠実に研究を持続せる時期なり」と述べている。
参考文献



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