東北大学附属図書館 夏目漱石ライブラリ


■9月20日


 「己ももう一返小六見た様になつて見たい」と云つた。「此方ぢや、向が己の様な運命に陥るだらうと思つて心配してゐるのに、向ぢや兄貴なんざあ眼中にないから偉いや」
 御米は茶器を引いて台所へ出た。夫婦はそれぎり話を切り上げて、又床を延べて寐た。夢の上に高い銀河が涼しく懸つた。
(『門』四の十三)
(『漱石全集』 第6巻)


参考文献


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