東北大学附属図書館 夏目漱石ライブラリ


■8月13日


 夢の如く生死の中程に日を送る。胆汁と酸液を一升程吐いてから漸く人心地なり。氷と牛乳のみにて命を養ふ。(中略)
○半夜一息づゝ胃の苦痛を区切つてせい/\と生きてゐつ心地は苦しい。誰もそれを知るものはない。あつても何うしてくれる事も出来ない。膏汗が顔から脊中へ出る。
(明治43年8月12日(金) 日記)
(『漱石全集』 第20巻)


※解説: 漱石は明治43年5月頃から胃の不調を訴え、長与胃腸病院で診察を受けた結果、胃潰瘍の疑いありと診断された。当病院に6月中旬から7月下旬まで入院し、8月6日には門下生・松根東洋城の誘いにより、静岡県伊豆修善寺温泉に療養のため出かけた。しかし修善寺温泉に到着後すぐに体調不良を訴え、病の床に就くことになる。
※「漱石文庫」関連資料: 修善寺の大患日記
参考文献



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