東北大学附属図書館 夏目漱石ライブラリ
■4月27日
梅が咲くにつけて寒い風は段々向を南へ更へて行つた。それが一仕切経つと、桜の噂がちらほら私の耳に聞こえ出した。それでも私は馬車馬のやうに正面許見て、論文に鞭たれた。私はついに四月の下旬が来て、やつと予定通りのものを書き上げる迄、先生の敷居を跨がなかつた。
(『こゝろ』)
(『漱石全集』 第九巻)
※
参考文献
戻る
Copyright(C) 2009 Tohoku University Library
著作権・リンクについて