東北大学附属図書館 夏目漱石ライブラリ


■4月23日


 偖小生の目的御尋ね故御明答申上たけれど実は当人自らが所謂わが身でわが身がわからない位故到底山川流に説明する訳には参り兼候へども単に希望を臚列するならば教師をやめて単に文学的の生活を送りたきなり換言すれば文学三昧にて消光したきなり月々五六十の収入あれば今にも東京へ帰りて勝手な風流を仕る覚悟なれど遊んで居つて金が懐中に舞ひ込むといふ訳にもゆかねば衣食丈は小々堪忍辛抱して何かの種を探し(但し教師を除ク)其余暇を以て自由な事を言ひ自由な事を書かゝんと希望致候
(明治30年4月23日(金) 正岡子規宛て書簡)
(『漱石全集』 第二十二巻)


参考文献


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