東北大学附属図書館 夏目漱石ライブラリ


■3月5日


 拝啓御地は暖国だから梅抔もとうから咲いたらう。当地は今が盛なれど町内には一本もない様也。見に行く所もないうちに散つて仕舞ひさうだ。今日は御節句で長閑で好い心持だ。然し風が強くて不可ん。(中略)
 此一週間程少々心地が長閑で生命が延びつゝある。それに春風が何よりの薬だ。鶯が時々鳴く、あれは好いものだ。西洋人は知らないものだ。
(明治42年3月3日(水) 皆川正禧あて書簡)
(『漱石全集』 第23巻)


参考文献


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