東北大学附属図書館 夏目漱石ライブラリ


■3月28日


 私は四月十日頃から又小説を書く筈です。私は馬鹿に生れたせゐか世の中の人間がみんないやに見えます夫から下らない不愉快な事があると夫が五日も六日も不愉快で押して行きます、丸で梅雨の天気が晴れないのと同じ事です自分でも厭な性分だと思ひます(中略)
 世の中にすきな人は段々なくなります、さうして天と地と草と木が美しく見えてきます、ことに此頃の春の光は甚だ好いのです、私は夫をたよりに生きてゐます
(大正3年3月29日(日)津田青楓あて書簡)
(『漱石全集』 第24巻)





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