東北大学附属図書館 夏目漱石ライブラリ


■2月7日


 小弟碌々として遂に三十年と相成甚だ先祖へ対しても面目なくこまり入候近々の内当地を去りたくと存候へども無暗に東京へ帰れば餓死するのみ
(明治29年(1896)2月7日 斎藤阿具あて書簡)
(『漱石全集』 第22巻)


※斎藤阿具(1868〜1942)は、歴史学者。
※漱石と斎藤は大学時代からの知人であり、明治26年夏には、帝国大学寄宿舎で同室ともなっている。漱石は、イギリス留学から帰国した直後の明治36年(1903)1月から、明治39年(1906)12月までのおよそ4年間、斎藤の持ち家である本郷区千駄木町の居宅を借りて住んだ。この時期に、『吾輩は猫である』を執筆した漱石は、斎藤に同書を献呈している(「〔斎藤阿具に贈りたる『吾輩ハ猫デアル』献辞〕」『漱石全集』26巻)。なお斎藤には、「夏目君と僕と僕の家」という回想がある(『漱石全集』別巻)。
参考文献


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