東北大学附属図書館 夏目漱石ライブラリ


■2月20日


 拝啓昨二十日夜十時頃私留守宅へ(私は目下表記の所に入院中)本日午前十時学位を授与するから出頭しろと云ふ御通知が参つたさうであります。(中略)
 学位授与と申すと二三日前の新聞で承知した通り博士会で小生を博士に推薦されたに就て、右博士の称号を小生に授与になる事かと存じます。然る処小生は今日迄たゞの夏目なにがしとして世を渡つて参りましたし、是から先も矢張りたゞの夏目なにがしで暮したい希望を持つて居ります。従つて私は博士の学位を頂きたくないのであります。
(明治44年2月21日(火) 文部省専門学務局長福原鐐二郎あて書簡)
(以上、『漱石全集』 第二十三巻)


※漱石は、明治43年夏の言わゆる「修善寺の大患」からの帰京後、明治44年2月末まで長与胃腸病院で療養していた。その漱石の留守宅へ文部省から博士号を授与するという書簡が届いた。
※関連ページ 貴重書展示室 博士号辞退書簡下書き
参考文献


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