東北大学附属図書館 夏目漱石ライブラリ


■1月5日


 私は両親の晩年になつて出来た所謂末ツ子である。私を生んだ時、母はこんな年歯をして懐妊するのは面目ないと云つたとかいふ話が、今でも折々は繰り返されてゐる。
(「硝子戸の中」


※漱石は慶応3年1月5日(新暦では2月9日)に、父夏目小兵衛直克と母千枝の五男として生れた。母千枝はこの時、41歳であった。「金之助」と命名されたのは、誕生日が「庚申の日に当り、庚申の日に生れた子供は大泥棒になる、然しそれをよける為には名前に「金」の字をつけるといいという迷信があった」(小宮豊隆『夏目漱石』)ためだった。
 しかし漱石は、生後数ヶ月の時、里子に出されることになる。
参考文献


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