東北大学附属図書館 夏目漱石ライブラリ


■1月31日


 霜白く空重き日なりき我西土より帰りて始めて汝が墓門に入る爾時〔そのとき〕汝が水の泡は既に化して一本の棒杭たりわれこの棒杭を周る事三度花をも捧げず水も手向けず只この棒杭を周る事三度にして去れり我は只汝の土臭き影をかぎて汝の定かならぬ影と較べんと思ひしのみ
(「無題」)
(『漱石全集』 26巻)


※漱石は明治36年1月末に2年間の留学を終え、英国から帰国した。正岡子規は、漱石が英国留学中の明治35年9月19日に死去した。漱石は、帰国後の間もない時期に子規の墓前を訪れた。これは、その時の墓参りを記した文章であるとされている。


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