東北大学附属図書館 夏目漱石ライブラリ


■1月11日


 自分の弱点に対しては二様に取り扱ふ方法がある。一は之を隠して自己の虚栄心を失望させまいとする。是は誰でもやつて居ます。僕もやつて居ます。然し決して満足が得られるものではない。一はコンフェツシヨンである。然し無用の人若しくは此コンフェツシヨンをきいて之を軽蔑する人若くは之を利用して害を加へやうとする人には自白したくない。だから此場合には己れの信ずる人、若くは敬する人、或は教を垂れて訓戒してやらうと思ふ人に自白するのである。
(明治39年1月9日(日)森田草平あて書簡)
(『漱石全集』 第19巻)


※この年、漱石は39歳。
参考文献


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