東北大学附属図書館 夏目漱石ライブラリ


■12月2日


○晩秋の落木、黄な銀杏、高い木(枯枝)残つた葉が時々落ちる。大変長く時間がかゝる。夫だのに瞬間毎に非常に素早く廻転する。
(明治44年(1911)12月2日(土) 日記)


※解説: 漱石は、明治44年11月29日に突然、五女・ひな子(雛子)を喪った。ひな子の死は漱石に大きな衝撃をもたらしたと言われ、その死は『彼岸過迄』「雨の降る日」に幼児(宵子)の急死として描かれている。明治44年11月29日(水)から12月5日(火)までの漱石の日記には、連日のように、ひな子を喪った漱石の心情が記されている。引用部分は、漱石が火葬場で見た晩秋の光景だと思われる。
※「漱石文庫」関連資料: 日記及断片
参考文献



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