東北大学附属図書館 夏目漱石ライブラリ


■12月17日


 此冬休みには帰つて来いと、丸で熊本にゐた当時と同様な命令がある。実は熊本にゐた自分にこんな事があつた。学校が休みになるか、ならないのに、帰れと云ふ電報が掛かつた。母の病気に違ないと思ひ込んで、驚ろいて飛んで帰ると、母の方では此方に変がなくつて、まあ結構だつたと云はぬ許に喜こんでいる。
(『三四郎』十一)


※解説: 『三四郎』は、明治41年(1908)9月から12月まで、東京・大阪の『朝日新聞』に連載され、明治42年5月、単行本が春陽堂より刊行された。
※作品を読む: 『三四郎』

参考文献



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