東北大学附属図書館 夏目漱石ライブラリ


■12月15日


 年は段々暮れて行つた。寒い風の吹く中に細かい雪片がちら/\見え出した。子供は日に何度となく「もういくつ寐るとお正月」といふ唄をうたつた。彼等の心は彼等の口にする唱歌の通りであつた。来るべき新年の希望に充ちてゐた。
(『道草』九十四)


※解説: 「道草」は東京・大阪の『朝日新聞』に大正4年6月から9月まで連載され、大正4年10月に岩波書店より単行本が刊行された。自伝的要素の強い作品である。
※作品を読む: 『道草』
参考文献



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