東北大学附属図書館 夏目漱石ライブラリ


■11月28日


 すま子とかいふ女のノラは女主人公であるが顔が甚だ洋服と釣り合はない、もう一人出てくる女も御白粉をめちや塗りにしてゐる上に眼鼻立が丸で洋服にうつらない。ノラの仕草は芝居としてはどうだかしらんが、あの思ひ入れやジエスチユアーや表情は強ひて一種の刺激を観客に塗り付けやうとするのでいやな所が沢山あつた。
(明治44年(1911)11月28日(火) 日記)


※解説: 漱石はこの日、帝国座で文芸協会のイプセン『人形の家』を観劇した。
※「漱石文庫」関連資料: 日記及断片
参考文献



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