東北大学附属図書館 夏目漱石ライブラリ


■11月12日


 前夜よく寐られなかつた疲労の加はつた津田は其晩案外気易く眠る事が出来た。翌日も亦透き通るやうな日差を眼に受けて、晴々しい空気を嵌硝子の外に眺めた彼の耳には、隣りの洗濯屋で例の通りごし/\云はす音が、何処となしに秋の情趣を唆つた。
(『明暗』百十四)
(『漱石全集』 第十一巻)


※解説: 『明暗』は、大正5年5月26日から12月14日まで『東京朝日新聞』に連載された。漱石の死によって連載188回で中絶した。
※作品を読む: 参考文献



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