東北大学附属図書館 夏目漱石ライブラリ


■10月3日


 或る香をかぐと或る過去の時代を臆起して歴々と眼前に浮んで来る朋友に此事を話すと皆笑つてそんな事があるものかと云ふシヨーペンハワーを読んだら丁度同じ事が書いてあつたさすが英雄の見る処は大概同じであると我ながら感に入つた我輩を知りもせぬもの迄が我輩を称して厭世家だ抔と申す失敬だと思つて居つたが成程厭世家かも知れぬ(倫孰〔敦〕の香ひ 十月ニナルト去年ノ十月ヲ臭デ思出ス)
(明治34年 断片)
(『漱石全集』 第19巻)


※「漱石文庫」関連資料: Essays of Schopenhauer
参考文献



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