東北大学附属図書館 夏目漱石ライブラリ


■10月13日


 ○ジエームスの死を雑誌で見る。八月末の事、六十九歳。
(明治43年(1910)10月13日(木) 日記)
(『漱石全集』 第20巻)


※解説: 漱石は明治43年5月頃から胃の不調を訴え、長与胃腸病院で診察を受けた結果、胃潰瘍の疑いありと診断された。当病院に6月中旬から7月下旬まで入院し、8月6日には門下生・松根東洋城の誘いにより、静岡県伊豆修善寺温泉に療養のため出かけた。しかし修善寺温泉に到着後すぐに体調不良を訴え、病の床に就くことになり、8月24日の晩には大量の吐血をし、一時危篤状態に陥った。いわゆる「修善寺の大患」である。漱石は、10月10日まで修善寺に滞在し、帰京後は再び長与胃腸病院に入院した。引用は、帰京後の日記の記述かた。「ジエームス」とは、アメリカの心理学者ウィリアム・ジェームズ(William James, 1842-1910)。漱石は、修善寺の大患後、ジェームズの『多元的宇宙』を熱心に読んだ。
※「漱石文庫」関連資料: 日記及断片 明治43年10月8日〜4年1月21日
参考文献



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